【中古で探す名器】ヤナギサワのテナーサックス・歴代モデル解説 | T-991/T-992、T-880、T-WO10/T-WO20など

コラム・知識
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ヤナギサワ(Yanagisawa)は、世界でも稀なサックス専門メーカーとして、その高い工作精度と「ヤナギサワ・トーン」と呼ばれる暖かく太い響きで、ジャンルを問わず絶大な信頼を得ています。

特に2015年にテナーサックスが登場した「WOシリーズ」以降、中古市場での注目度はさらに高まっており、新品価格の高騰も相まって、状態の良い旧モデルや現行中古品の価値が非常に安定しています。ここでは、今こそ探すべき、あるいは売却時に高く評価される名器を、最新の相場とともにご紹介します。

左:T-WO10  右:T-WO20

T-992 / T-991:「絶大な支持を得る前世代の名器」

特徴・人気の理由

WOシリーズが登場する前の、1998年ころに発表され17年ほどの長きにわたって販売されたフラッグシップモデルです。特に「T-992(ブロンズブラス製)」は、ヤナギサワを世界に知らしめた金字塔ともいえるモデルです。現行モデルと比較しても「こちらの方が音が太く、ダークでジャズに向いている」と評するプロも多く、あえて中古で指名買いされる名器中の名器です。

  • T-991
    真鍮(ブラス)製が多く流通しています。バランスの良い吹奏感と応答性の良さから、その実用性の高さで評価されています。
  • T-992
    ブロンズブラス製。ダイナミックレンジが広く、豊かで深い響きが魅力の人気機種です。音色が濃厚・複雑で、ジャズ、吹奏楽、ソロ演奏まで幅広く活用できます。

中古市場での状況

2025年10月にはコンディション良好な個体が24万円で成約されるなど、製造終了から時間が経っても評価が全く落ちていません。ヤナギサワの旧世代 900 系・990 系の中では 上位ランクに位置するテナーサックスとして、中古市場でも安定した評価がついています。ヤナギサワ特有のブロンズブラスの管体の評価が極めて高いのが特徴です。中古の査定表をいくつかあたってみても、T-991 と T-992 は同シリーズの中で 高めの買取価格帯に位置しているモデルです。

  • T-991
    買取相場の目安は110,000円 ~ 220,000円前後
    状態の劣化や修理歴の有無が査定に影響します。すべてのタンポを交換し、オーバーホールによる調整済みの個体であれば、状態の良さがそのまま高い査定につながります。
  • T-992
    買取相場の目安は120,000円 ~ 230,000円前後
    ブロンズブラスらしさの旧上位モデルとして評価されて人気があり、実売価格が高めに出る例が多いです。状態が良ければ上位の査定につながりやすく、需給バランスも良好です。経年劣化や傷に注意が必要です。

T-880:「『マークVIを超えた』と評された伝説のジャパン・ヴィンテージ」

特徴・人気の理由

1980年から1990年代初頭にかけて製造された、ヤナギサワを代表するプロフェッショナルモデルです。当時、世界最高峰のサックスであるセルマー「マークVI」を徹底的に研究し、それを凌駕する精度を目指して作られたことから、海外のプレイヤーからは「マークVI・キラー」とも称されました。ヤナギサワが「世界ブランド」へと飛躍した時期の象徴的なモデルです。

  • アンダースラング・オクターブキイ
    ネックの下側を通るオクターブキイの機構(アンダースラング)が最大の外見的特徴であり、これは現在のWO10/20シリーズにも受け継がれているヤナギサワの「エリート」の系譜はこのモデルから始まりました。
  • 重厚で深みのあるトーン
    現代の楽器に比べ、管体の振動がダイレクトに伝わる独特の吹奏感があります。特にジャズプレイヤーの間では、現行品よりも「ダークで渋い」「音の密度が濃い」と非常に高く評価されています。
  • 卓越した耐久性
    非常に堅牢な作りをしており、40年以上経過した個体でも、適切な調整を施せば現代のステージで十分に通用するポテンシャルを維持しています。

中古市場での状況

製造から時間が経過しているため、コンディションの良い個体は年々少なくなっています。しかし、近年「ジャパン・ヴィンテージ」としての再評価が著しく、多少のラッカー剥げや使用感があっても、演奏可能な状態であれば安定して高値で取引されます。 2025年現在、ヴィンテージサックス特有の「枯れたサウンド」を求める中上級者の指名買いが多く、市場に出ると短期間で成約に至る人気のモデルです。

  • 買取相場目安
    120,000円 ~ 180,000円前後
    値崩れしにくい旧モデルである一方、経年劣化は免れないためオーバーホールが前提で、また付属品の欠品などがあると査定額が低めに出る可能性があります。ただし、付属品が揃っていて整備が細やかに行われているようであれば高額寄りの査定額が提示されます。

T-WO10 / T-WO20:「現行エリートモデルの完成形」

特徴・人気の理由

2015年に発売されたヘヴィータイプ(エリート)モデルで、新品も発売されている現行機種です。管体支柱の設計が見直され、程よい抵抗感とともに、ピアニッシモからフォルテッシモまでコントロールしやすい柔軟性を備えています。旧モデルのT-900系の後継にあたり、音程の安定性も向上しています。

  • T-WO10
    真鍮(ブラス)製。輪郭のはっきりした、力強くパワフルなサウンドが魅力な機種です。音程が安定しており、耐久性の高い設計です。
  • T-WO20
    ブロンズブラス製。ヤナギサワの真骨頂である、深く温かみのある唯一無二の響きをもっています。中低域の豊かさに特徴があります。

中古市場での状況

現役のプロ奏者や音大生からの需要が高く、入荷してもすぐに売れてしまう「中古市場の優等生」です。2025年現在、新品の定価が引き上げられたことに伴い、買取相場も高水準を維持しています。

  • T-WO10
    買取相場の目安は100,000円 ~ 210,000円前後
    修理の必要がない美品で付属品も欠品がなく、音抜けがよいと高額査定となります。
  • T-WO20
    買取相場の目安は120,000円 ~ 230,000円前後
    T-WO10同様、修理不要の美品で、付属品が揃っており、音抜けがよいと高額査定です。

T-WO1 / T-WO2:「操作性に優れたライトタイプの現行機」

特徴・人気の理由

現行モデルです。T-WO10/T-WO20が、これらT-WO1/T-WO2の上位互換機で、旧世代という言い方もできます。旧世代の設計であり、T-WO10/T-WO20と比較すると管体支柱が簡略化されていることで、息がスッと入りやすく、軽快に鳴らせるように設計されています。

T-WO1がブラス製、T-WO2がブロンズブラス製です。特に「T-WO2」は、手頃な価格でヤナギサワのブロンズブラスサウンドが楽しめるため、上位機種は手が出ないけれどヤナギサワを吹いてみたいという層から高い支持を得ています。

中古市場での状況

2025年11月には、T-WO1の程度良好品が20万円で買い取られた記録もあり、エントリー層から中級層にかけて非常に強い需要があります。

  • 買取相場目安
    80,000円 ~ 160,000円前後
    T-WO2の方がやや高めですが、それほど大きな差はないようです。

ヤナギサワのテナーサックスは、その卓越したクオリティにより、どの年代のモデルであっても「音楽的な価値」が非常に高く評価されています。求める音の方向性によって、以下のような目線で選択するとよいでしょう。

  • 最新かつ最高峰の演奏性を求めるなら → T-WO10 / T-WO20
  • コスパ良く豊かで深い音を狙っていきたいなら → T-992
  • 手軽にヤナギサワらしさを楽しむなら → T-WO2

もしお手元にこれらの楽器があり、売却を検討されている場合は、ヤナギサワの「素材の違い(ブラスかブロンズか)」や「モデルごとの特性」を正しく理解している、楽器専門の買取業者に相談することをお勧めします。

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